10月のシネマクラブは1963年東宝映画「白と黒」でした。
 黒澤明の愛弟子堀川弘道監督の「白と黒」は題名の通りの白と黒のどんでん返しが驚愕のストーリー。次々起こる新事実にすっかりはまってしまいます。痔もちの敏腕検事小林桂樹が自白させた殺人事件の犯人井川比佐志。実は、犯人は映画の出だしで弁護士の仲代達也に決まっているのです。ところが盗みに入った盗人の男が認めたため死刑になりそうです。良心の呵責に苦しむ仲代は不信を抱かれ追い詰められていきます。これで確定と思えばまたその先があり、さすが脚本の橋本忍抜けがありません。人物設定と言い名優の競演も堪能できます。劇団の重鎮千田是也、小沢栄太郎、東野英治郎。三島雅夫。あっという間に殺される淡島千景。山茶花究や岩崎加根子なんかワンシーンのみという贅沢さです。短い時間でこの完成度。今どき映画の2,3時間の長尺と比べても引けを取らない充実の113分です。
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