「若者のすべて」は若きアラン・ドロンが無垢で純真で素晴らしい
 以前「サムライ」が、稀少版と書きましたが、今度めでたくブルーレイと、DVDの発売となりました。ただいま予約中とあって人気沸騰中です。ハンサムの代名詞、世代によっては、見事世界の美男子ナンバーワン。そういうところには完全に無反応なわたくしでしたが「若者のすべて」ロッコ役ののドロンには完敗です。原題は「ロッコとその兄弟」当時共産主義者だったヴィスコンティが撮った、イタリアネオリアリズモ映画後期に位置する作品です。貧しい南部の田舎からミラノに家族で移ってきた一家。ドストエフスキーの「白痴」の疑うことを知らないムイシュキン公爵を投影した役柄で、すべてを許し受け入れる三男ロッコ。だらしなくしょうのない次男シモーネを最後までかばいます。男5人兄弟や多くの男優の中でひときわ目立つまだスターと呼ばれる前のアラン・ドロン。実に魅力的です。ヴィスコンティが使いたくなったわけが分かります。兄のため恋人と別れる時の一筋の涙。監督が素晴らしいのでしょうね。シモーネ役のレナート・サルヴァトーリも適役です。かれは共演したアニー・ジラルドの夫で、残念ながら50代でなくなりました。その後絢爛たる貴族階級の落日を描いた監督でしたが初期の、貧しい庶民の生活をモノクロのフィルムに焼き付けた逸品です。
|