今月のシネマクラブはレオ・マッケリー監督の「明日は来らず」でした。

1937年アメリカ映画。53年の「東京物語」に先立って制作された老夫婦の物語ですレオ・マッケリーは1939年のオリジナルと1957年のリメイク版「めぐりあい」の2作、「吾輩はカモである」「わが道を行く」「善人サム」などの心温まる作品を発表した名監督です。老人夫婦が5人の子供に恵まれたにもかかわらず、家を無くした上二人は別れて暮らす羽目になります。もうたぶん生きて会うこともない夫婦は、つかの間の幸せな一日を過ごします。町で出合った他人の思いやりややさしさが、温かく二人を包みます。現代にも通じる親と子の永遠のすれ違いが、切々と語られ、前回の「孔雀夫人」に続き、短い時間に手堅く紡ぐ物語は、今も見る人の心に深く響きます。
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