今月のシネマクラブは「かくも長き不在」でした。

まだ学生の頃、一度見たきりの映画「かくも長き不在」。このたびやっと修復され念願がかないました。作品によっては、自分の記憶の劣化とともに印象が変わってしまいますが、全く古さを感じさせないのは喜びでした。静謐な戦争映画の代表的な傑作。ルミノ監督の「緑はよみがえる」もその中の一作ですが、どちらかというと戦闘中の塹壕の映画。「かくも長き不在」は、1961年仏伊合作アンリ・コルビ監督。マルグリット・デュラス脚本。ゲシュタポに連行された夫を待ち続けるテレーズの気持ちはより女性が共感できるのではないでしょうか。記憶喪失の夫と思われる浮浪者に、好きだったワインとチーズを食べさせ思い出の音楽を聞かせますが、「あなたはやさしい人だ。」というばかり。ゆっくりした前半から衝撃の終盤に至るまで、ゆるみのない映画と思いますが、ネット上の評価は、前半ゆっくりすぎて退屈、果ては寝てしまった・・まで。共感できる人に育ってね、と願うばかりです。大好きな「夏の嵐」のアリダ・ヴァリ。ここでも忘れがたいテレーズを演じています。

リー・マービンとウォーレン・オーツ　男気の二人。

ウォーレン・オーツの代表作は「ガルシアの首」。「デリンジャー」もいいけどやっぱりこれでしょう。流れ者同士の友情「さすらいのカウボーイ」今はあまり描かれない男の意地と悲哀を体現できる俳優の一人です。もう一人の個性派リー・マービン。強面でクールなスクリーンの上とは違い何やら楽しそう。役作りに演劇論などを語っているというよりも、リラックスしてよもやま話というところでしょうか。あまり見ることのないプライベイトの一コマです。