三船敏郎賛 銀嶺の果て・ジャコマンと鉄・無法松の一生
 三船敏郎と言えば「侍」というイメージですが、初期の頃の野性味あふれる朴訥な青年や、彼の地のままと言われている無法松を演じた壮年期の作品を見直してみて、恐れ入ってしまった今日この頃です。西部劇のイメージの強いジョン・ウェインも「静かなる男」がとてもいい。1952年制作の「東京の恋人」では原節子と共演していて、スーツ姿のスマートでちょっとシャイな三船が見られます。「ジャコマンと鉄」は深作監督で高倉健と丹波哲郎共演でリメイク。こちらの作品の評価が高いのですが、船乗りの三船が、あこがれの美少女に合いに行くそれも遠くから見るだけの純なシーンがなんともいいのです。これが男の意地とプライドのぶつかり合い!などという声高な主張もなく、生活の中の男の矜持が心地いい。時代と言えばそれまでですが、名前も名乗らず相手を糾弾罵倒しているネット社会にはない、時代の「さわやかさ」に感動する多くの作品群。三船敏郎のすごさを追体験しています。
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