今月のシネマクラブはコスタ・ガヴラス監督の「Z」でした。
 私たちの世代には、いろいろな意味で思い出深い映画の一つです。「アルジェの戦い」とともに忘れさられていきそうな、もったいない作品です。なんといっても2本とも希少で一万円近くしますから簡単には見られません。暗殺される自由主義の政治家にイヴ・モンタン。なんといっても恐れず告訴する予審判事のジャン・ルイ・トランティニャンが見ものです。小悪党の考えなしの二人や生活困窮者をいいように利用する国家の上層部と警察幹部が、かなりデフォルメされて登場します。おもしろくて深くて「政治性」と「娯楽性」が絶妙に融合したまれな作品です。ミキス・テオドラキスの民族風の音楽も抜群の効果を上げています。今もややこしいことになっているギリシャ。映画を通じてギリシャ史を紐解くのも一興です。
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