今月のシネマクラブは,トリフォーの「私のように美しい娘」でした。

 1972年フランス映画、日本では未公開。なんで!と思いますが。悪女が次々男をたぶらかすという話です。今では結構こういう犯罪を犯す女を見ますが1970年当時では稀少。悪行なれど、軽快なテンポとともに、あっけらかんとした不思議な爽快感がある作品です。あまりの罪悪感のなさと、流れるままの計画性の希薄さ。その時々でとんでもない悪知恵を働かせます。人生すべて男がらみ。犯罪学の教授が、殺人犯の女カミーユに研究のため面会で聞き取りをし、いつしか虜になるという展開。最初監督自身が教授をやろうと思ったようです。「彼女が通れば思い出が残る」ことしかない現実。「女受けは悪いが、男には必要な存在」という不文律。とにかくトリフォーの語りのうまさとセンスが堪能できます。カミーユ役のベルナデッド.ラフォンは、初期の作品「あこがれ」で清純で美しい人を演じた女優。あまりのイメージの違いに驚きつつ、キュートな彼女にぞっこんになること請け合いです。。
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