ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー「不安は魂を食いつくす」
 4月のシネマクラブで鑑賞したダグラス・サークの「天はすべて許したもう」へのオマージュ作品。それにしてもあまりの強烈さに驚くばかり。以前は「不安と魂」でしたが。最初に「幸福が楽しいとは限らない」と語られますが、人種差別、移民問題、年齢差、暮らしの中の無意識の偏見が分かりやすく極端なカップルがゆえに違和感たっぷりに描かれます。リアルな近隣住民や、職場の同僚、飲食店従業員の奇異なまなざし。1974年の作品ですが現在とあまり変わらないのがかえって不気味です。ニュージャーマンシネマの旗手と言われ、37歳でコカインの過剰摂取で世を去りました。常に男性の恋人を持ち、パートナーも不幸な人生を送るというストレスだらけの生活。その中で44本の作品を送り出しました。1979年の「マリアブラウンの結婚」は大評判になり、かの淀川さんも大絶賛していましたもう一つのオマージュ映画、。「エデンより彼方へ」はほとんどダグラス・サーク作品をなぞっていますが、ファスビンダーのこのオリジナリティーに脱帽です。
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